離婚後に不動産名義人の失踪
離婚事由
離婚にはそれぞれに「離婚する理由」が存在すると思います。
何かの雑誌で読んだのですが、やはりNO1の離婚理由は「正格の不一致」だそうです。
ま、本当はもっと理由はあると思いますが、この表現が一番無難なのかもしれませんね?
統計上は3月が一番離婚件数が多いそうです。
これも子供のスケジュールに合わせた結果でしょうか?なんとなくうなずけます。
どんな理由であってもお互いが離婚に対しての「合意」があれば、離婚が成立します。例え単純に「相手になんとなく飽きた」とか「顔が嫌い」「臭いがきらい」でも、双方が納得すれば離婚は成立するのですが、裁判離婚に限ってはこうはいきません。
離婚する理由が以下に該当しないと裁判離婚はできません。
1.配偶者に不貞があったとき
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき
3.配偶者の生死が三年以上明らかでないとき
4.配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
5.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
引用:民法第770条
大概、9割以上の離婚は協議離婚と言われていますが、話がもつれると
調停離婚→裁判離婚へと争う場所が変わっていきます。
調停離婚までは「離婚の理由」は問われませんが、裁判離婚になれば
上記理由に該当しないと裁判自体できません。
専門家ではないので詳しくは解りませんが、1~5番の
どれかしらに「無理やりでも紐付けて」裁判を行っているような
気もしますが、、、、
生死が3年以上明らかではないとき
*生死不明とは「生きているのか?」「亡くなっているのか?」確認できないことを指します
*最後の音信より3年経過後に離婚の理由として認められます
*7年以上の生死不明の場合、「失踪宣告」の制度を利用可能。
家庭裁判所の宣告により、法律上は死亡扱いになり、婚姻そのものが
終了する。
不動産の売却(売買)に限って言えば、名義人の失踪ほど困るものはありません。
不動産業者であれば「まずい」と誰でも思います。
理由は単純に売買できないからです。
しかし、「売買できない」という言い方にも語弊があります。
正確に言えば「時間がかかり、手続きが面倒」ということです。
一般的に「行方不明」「失踪」と聞いても「そんなの稀でしょ?」
と思うかもしれませんが、何年かに一度は私は遭遇します。
「そもそも離婚もしていないが、何年前から家に帰ってこない」
「離婚後、全く音信不通になり、親に聞いても解らず、住宅ローン
の督促状、競売開始決定通知が届き、慌てて探しているが解らない」
こういった事例は意外にも「チラ・ホラ」あります。
理由はさておき「何らかの事情により自宅売却を行う時に名義人が
行方不明・失踪している時に売却する方法はあるのか?」
という問題になりますが、2つほど方法があります。
不在者財産管理人権限外行為許可
不在者(行方不明者)に代わり、不在者の利害関係人(配偶者・推定相続人・債権者等)が定めのない代理人として、財産の保持・利用・改良の管理行為を行うことを
利害関係人や検察官の請求により家庭裁判所が認めるものです
(民法第27条103条)
しかし、不在者管理人が認められている権限行為はあくまでも「管理」
ですので、売却処分行為はできません。権限外になります。
売却行為等を行う場合には、家庭裁判所に「権限外行為許可」
という申出を行い、認めてもらう必要があります。
認められれば不在者管理人によって売却ができます。
失踪宣告
2つ目の方法ですが、「失踪宣告」の申出を裁判所に行う方法です。
7年以上にわたり不在者の行方が解らない場合には家庭裁判所に
失踪宣告の申出を行います。認められれば不在者は法律上「死亡」
とみなされます。
失踪宣告確定後にグザイ者の財産は通常の遺産分割手続きにより
相続権利者が自由に処分できます。
デメリット
どちらの解決方法も1か月や2か月で裁判所が申し出を
認めるものではありません。時間がかかります。
その期間に関しては各家庭裁判所によって違うでしょう。
一般的には失踪宣告で1年前後。
不在権限外行為許可で6か月前後
ですから、競売などにすでになっていて
「任意売却を行いたい」と考える人にとっては
時間に限りがあるので有効とは言えないかもしれません。
むしろ「とにかく探す」ことに専念すべきかもしれません。
詳しくは専門家である弁護士に聞くのが
一番よいでしょう。
南東京任意売却相談室