一寸先は光なり

不動産全般・住宅ローンに不安のある方へ

成年後見人・法定後見人のデメリット

 

5人に1人の時代がやってくる?

 

2025年、あと7年後には730万人に達すると予想される認知症

65歳以上の高齢者見込数が3650万人。

5人に1人が認知症になってしまう計算になります。

 

こういった予想をもとに2000年から政府が導入したのが

成年後見人制度」

 

判断能力が著しく低下した高齢者に代わり

親族や辯護士等が「財産管理」「不動産処分」「介護施設・病院等の手続き等」を支援する。

 

本人の判断能力に応じて「補助」「補佐」「後見」と3段階に分けられるこの制度

ですが、現在500万人を超えると言われている痴呆症患者のうち利用者は

20万件前後。

近年、流行の「オレオレ詐欺」の被害者の80%以上が60歳以上であり、

制度を推進・拡大する必要が一見あるように感じますが

そこには様々なトラブルがあります。

 

わずか30%、、

家庭裁判所が選任する成年後見人ですが、

2004年には、親族が後見人になるケースが8割、辯護士・司法書士が2割だったのですが

現在、親族がなるケースは3割未満。

 

年々、親族が後見人になる可能性は少なくなってきています。

 

確実な情報ではありませんが、痴呆になってしまった方の財産が3000万円超の場合

「親族が選任されることは難しい」と士業の先生から聞いたことがありますし、

財産が大きくなると「司法書士」より「弁護士」が選任されることが多いと

聞いています。

 

ここまで親族が「後見人」から外されてしまい、「親の財産」に一切

タッチできなくなってしまうことが「後見人制度」が進まない理由の1つ

であることは言うまでもありませんし、

 

最も怖いのが「親族が信頼できるか解らない人」に大切な「お金」や『財産」「実印」を預けること。

 

弁護士バッジがついているだけで、「赤の他人」「初対面の人」に全てを預けるなんて

誰でも「大丈夫?」と思いますよね?

 

この先生なら「安心だ」という先生は実際には沢山います。しかし、それは話をして、人柄とかを解っているからそう思えますが、、、

 

 

実際に後見人(専門家)と親族が「異常に仲が悪い」、または「恨んでる」といった

話は様々なケースで聞きます。

 

後見人の不正

約57億円。平成26年度に報告された「後見人」による不正金額。

簡単に言えば「使い込み金額」

このうち「親族」による使い込み・不正は9割。

 

こういった事実を踏まえて、裁判所も「年々」親族による「後見人」の

数を減らしてきている背景に「裁判所の任命責任回避」が最も

大きい理由と言われています。

 

勿論、専門家(士業)の使い込みも時に報道で報じられるように

相当数は報告はされてはいるようですが、、、

平成27年 士業の不正・37件の報告あり

 

 

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後見人に他人が任命されるとできなくなること代表例

1 相続対策での生前贈与

2 生命保険契約

3 株式や投資信託の売買

4 不動産売買・大規模修繕

 

4の不動産売買の話になりますが、一応体裁上は「裁判所の許可」が出れば

成年後見人の不動産は後見人のもと売買はできますが

あくまでも「被成年後見人のために」「痴呆になっている方のメリットになる場合」

のみです。

 

成年後見人はあくまでも被成年後見人の財産を「守ること」が使命であり、

財産運用や売却益といったことには無関係です。

 

最近の出来事ですが、50代女性の事業が破綻。借金200万円。彼女には

母親と共有名義の土地がありました。当然債権者は彼女が2分1持分を持つ

その土地に差押え(競売)をかけてきます。

 

一般的に200万円の借金で母親も2分1の権利を持つその土地を失っていいのか?

土地を守るために母親の預貯金から200万円援助をしても良いのではないか?

と思いますよね?

しかし、答えはノーです。後見人には聞く耳を持ってもらえませんでした。

 

一番の理由は「2分1の母親の持分を守ればよいから」また

「今は老人ホームにいて、そこに住んでいないから」という理由らしいです。

 

しかし、土地というものは2分2あって初めて価値が出ます。2分1の権利を買う人などいません。こういったケースは「持分屋」という輩が出てきます。勿論安く買い叩きます。

 

このケースも辯護士の成年後見人と娘さんの仲が異常に悪く、辯護士に対して不信感が強すぎて、途中からは全く話しが進まなくなってしまいました。

 

娘が異常に嫌悪感を示すものですから辯護士も非協力であることは言うまでもありません。

このケース、結論的には非常に悲しい結末を迎えますが、、、

 

 もう一度言いますが、

「被成年後見人の居住用」不動産には「家庭裁判所」の許可に

「明確な理由」が必要です。(本人のための売却理由)

一度でも住んだことがあると「居住用」とみなされてしまうことが多いらしいです。

「居住用」は特にうるさい と覚えておいてください。

 

成年後見人の費用

一般的に辯護士や司法書士が「後見人」に就いた場合、月額3~6万円。

親族が後見人になった場合には、親族が不正を働いていないかをチェックする

「後見監督人」がつきます。

 

最近は必ず士業の先生が就くそうです。

その報酬が月額2万円前後。

親族が後見人に就いたとしても「見張り」がいて

もはや自由はありません。

 

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任意後見制度

 

最近、増えているのが「任意後見制度」。家庭裁判所が選任するのが「法定後見制度」

 

任意後見制度の最大のメリットは「自分の好きな人に財産管理を任せられる、任命できる点」

 

「いつか呆けて、知らない人に財産管理などさせられない・嫌だ」と思う人が

「意思能力・判断能力があるうちに誰か好きな人を任命しておく制度」

 

こういう制度ですから、当然的に「家族」「親族」がなることが圧倒的。

公正証書」にて契約、書面化しておかないと無効になります。

 

また残念ながら「任意後見人」であっても、「親族が後見人の場合」は

「監督後見人」はつきます。見張りはどちらでも有り。

 

親族がなっても難しい財産管理の圧倒的に多いパターン

 

これほどよく聞くパターンはないと思いますし、被後見人が他界した後も相続でもめるパターンです。

 

例えば、母親が認知症になり、母親に3人の子供がいたとします。

一般的には長男・長女が母親の認知症の介護がをすることが多いのでしょうか?

 

ここでは「長男」が母親の認知症の介護をしたとします。

母親の預貯金を預かり、母親の食費や医療費、雑費等を母親の預金から

捻出するわけですが、この経費が兄弟・姉妹に理解されないというパターンが

圧倒的に多いわけです。

 

「なんでこんなに預金が減ってるの?」(介護中又は他界した相続時)

「年老いた母親にこんなに食費かかる?」等々、、、、。

 

介護の年数が増えれば増えるほど、預貯金は目減りしていくわけですが、

領収書や内訳がまったくない、母親のそばにいない人、介護経験のない人には

「疑いの目」に変わることが多い。

 

面倒をみてきた長男または長男の嫁は「冗談じゃ無い、面倒もみないくせに、、、」

 

どこまでが「必要経費なのか?」という問題もあると思います。

例えば、介護疲れからくる「リフレッシュ費用」みたいなお金です。

 

相続税は、相続税申告後から5年間は税務調査対象であり25%の確立で税務署が入るそうです。

 

税務署が入ると故人の過去10年間の預金通帳の流れも調査対象になるそうですが

そこで税務職員が「介護費用や生活費用のための預金引き出しにしては

額が大きい」等の指摘を受けると一気に兄弟間、姉妹間の「ネコババ疑惑」

が炎上すると聞いています。

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疑惑を防ぐ方法

 

税理士の先生に聞くと、「こまめに帳簿を付ける以外ない」とのこと。

単純に何月何日に○○円、その横に領収書を貼る、といったような

家計簿的なものでよいそうです。

 

が、しかし「ここまでやって何の得があるのか?」

疑問にも思いますが、、、、、

 

まとめ

 

一度「成年後見人」がつくと、現実的には「やめることができない」のが現状です。

あまりにも「肉親の不正が多い」「肉親を選ぶと裁判所の任命責任が問われる」

という理由により肉親・親族が後見人になるケースは今後も減るでしょう。

 

個人的には相続人が少ないのなら「親族」が不正を行い、使い込んでも仕方ないとは思っています。他人に取られるよりはよっぽどいい、、

 

しかし兄弟が多い場合などはそうはいかないかもしれません。

 

どちらにしても「後見人問題」と「相続問題」は表裏一体。

 

遺恨を残さないためにも

 「任意後見人」を含めて「両親が健康なうちに」第三者の専門家を交えた

話合いが理想ですが、現実的には健康なうちには「話ずらい話」です。

 

また、上記のような場合(親族が介護する)介護した人が相続時には20%多く相続できるとか、月額3万円の介護報酬を受けるとか、あらかじめ決めておけば良いのかもしれません。

 

しかし繰り返しなりますが、「日本人独特の感性・感情」が邪魔をして

両親が健在なうちに「お金」の話をすることは「いやしい」とか「金の亡者」とか

という発想が先行するのが現実。

 

結果的には問題が表面化・顕著化した時には「手遅れ」になることが

ほとんどです。

 

先ほど、「健康なうちに両親と専門家を交えて、、、」と書きましたが

こういった話合いは「親族」だけの話合いより「税理士」『司法書士」等を交えた

話合いの方が「スムーズに話合いがまとまる」ことが多いと思います。

理由は士業の発言には「根拠」があるからです。

 

また財産がある程度ある方は税理士は税理士でも「相続専門税理士」に任せた方が良いと思います。

 

士業が後見人に任命されると月々5万前後で年間60万円。

高齢社会・長寿化に伴いその費用も馬鹿には出来ない額

20年他人に後見人を任せると1200万円という高額です。

 

非常に難しく、面倒な問題ですが避けては通れない道。

「財産」などいらないとか「相続放棄」を考えている方には無縁な話ですが

必要な方は今から勉強して準備をしておいた方が良いかもしれません。

 

個人的には「成年後見制度」は何をやるのも面倒で

自分の親には絶対に「ノーサンキュー」

しかしそれも私個人の意見であり

親族・肉親が望めば、、、、