住宅ローン・相続税対策としてのサ高住
サ高住
2015年、相続税改正に伴い、相続税対策として、多くの賃貸住宅建設されました。
相続税対策に不動産を有効活用することは最も効果が高いことは周知の通りです。
2015年全国378718戸 首都圏 134995戸(国土交通省)
大きな改正ポイント
・最高税率の引き上げ
・基礎控除の引き下げ
以上2点
本当にそんなに上がったのか?(上がったと思うのは今まで相続税のなかった層
8千万から1億円層は高いとおもうはず)
例えば、税率、、、2015年前と202015年後では法定相続取得分が2億円超から5パー税率が上がっています。40パーが45パーに変更。
6億円超になると50%が55%に。
* 法定相続取得分
父・母・子供2人(父が亡くなった場合)→母2分の1 子供4分の1ずつ計2分の1)
といったようにあらかじめ法律で決められている取り分の割合
マスコミがよく騒ぐトリック
6億円超の55%。「半分以上じゃん、これは大変。え、よく計算すると6億の55パー
3億3千万?
これがマスコミが煽る見出しですが、解釈が全く違います。
実際は一人あたりの法定相続分が6億円を超えた部分だけが55%
もう一度、超えた部分だけに適用
増えすぎたアパートの代替商品サ高住
アパートがすでに飽和状態なのは地主さんもよく知っています。
これに変わる絶好の商品がサ高住。(高円賃・高優賃・高専賃の廃止に伴い、一定の要件を満たす構造の高齢者向け住宅)
営業マントーク
「地主さん、日本は高齢化社会ですよね、特養の数が全く足りないの知ってますよね?
60万人くらいは待機者がいるらしいです。サ高住には需要があります。
今なら、国の補助金・税の優遇制度もあります。しかも、うちは35年家賃保証しますし、サ高住の運営も行っています。
地元にも貢献できますし、どうですか?」
サ高住のサービス内容(特養とは違う)
1安否確認
2生活相談
3食事
_(介護サービスは全て別契約)
収益オーナーとしてあまりに難しいサ高住経営
サ高住経営が難しいと思う理由
① アパート経営と介護事業の両立
② 介護事業による収益は低い
③ 総量の規制がないので永遠に増え続ける
④ 超不安定サブリース契約が多い
⑤ 利益の薄い介護事業運営者の能力でアパートの命運が左右される
⑥ 補助金・税制優遇のメリットは無いと思った方が良い。
説明
⑥ 補助金を得るためにハードルの高い条件を満たす必要があります。
この条件で建築を行うと大幅に建築費用がアップしてしまうので補助金を貰うメ
リットはなし。反って補助金を貰わない方が利益は出る。利回りはよい。
税制優遇は短期減価償却(5年間)なら多少あるが、トータルでは全く変わらない
⑤ そもそも利益の薄い事業ですが、お客様は介護事業とみているので、サービスの
質・人間性等、介護事業が駄目だとアパートにも入居が見込めない。連動している
が、その介護運営業者を大抵はオーナーが選ぶことはない。(建築施工会社関連事
業者の運営に頼る以外なし。)
④ 家賃の見直し時、「いやなら辞めますよ、35年借り上げ」これがサブリース契約。
つまり、新たに提示された家賃設定で合意できない場合、サブリース会社は
いつでも契約を解除できます。アパートの解除だけならまだしも、サ高住の運営
もサブリース会社に任せていたら一体どうなるの?
③ 有料老人ホームは、総量規制があります。あらたに建築する場合、自治体の許可が
必要です。
本来、地方公共団体や社会福祉法人が運営する特養(特別養護老人ホーム)が増え
れば、費用面でも助かるので良いのですが、介護保険財源不足のため施設を増やせ
ない。待機者は現在、50万人とも60万人とも言われてます。
サ高住には一切の規制制限はありません。いづれ過当競争になるは 時間の問題で
す
② サ高住を特養や有料老人ホームと勘違いしている人がたまにいますが、サ高住の
基本的な事業内容・サービスは「安否確認」と「生活相談」基本はこの2つ。
お風呂に入れるわけでもなく、通常一般人が思う介護事業を行うわけでもなく、
医療機関と連携していることも少ないので、病院も自分で行くよう。
よって介護等級が低い老人しか扱えない=利益が薄い
① アパート経営だけでも難しいこの時代、介護事業の運営者次第、運営者の良し・
悪しに大きく左右されかねないこの事業。。。。
投資しますか?
サ高住オーナーを考えているかた
判断できるメンターをさがしてください。良いアドバイザーを探してください。
税理士は節税は一生懸命やるでしょう。しかし土地の有効活用に長けてはいない。
また税理士だから、相続対策に強いとは限らない。むしろそんなに扱っている税理士の方が少ないでしょう。
不動産屋はどうか?節税がまずできない。
じゃあ誰に?
不動産収益物件には必ずサマリーというものがあります。
表やグラフを用いて、その不動産の事業性を見る通信簿みたいな物です。
サ高住の場合も必ずその資料を施工会社が作成、説明を受けると思います。
内容例) ・投資期間全体の税引き前・税引き後のキャッシュフロー
・純営業利益 NOI
・年間元利返済額 ADS
・借入償還余裕率 DCR
・損益分岐入居率 BER
・総滞在収入 GPI
・正味現在価値 NPV
・内部収益率 IRR
等々。こういった資料を見て「素晴らし。儲かる」なんて解る人はいません。
大事なことは、このサマリーという通信簿、数値の入れ方次第でどうにでも
良い物件、儲かるように操作ができます。しかし、判断する上で非常に大事な資料です。
この資料を施工業者以外のプロ、専門家に見せる。第三者業者に見せて判断してもらうのが一番良いと思います。ここでの報酬はケチらない方が良いです。こういった業者はあります。
素人でも聞ける質問
施工業者の通信簿には税金を考慮してない物が多い(税引き前のサマリーがほとんど)
また、サブリース、30年から35年の一応は一括借り上げのため、家賃は一定の計算式が多い。つまり、家賃下落を想定してない。
このことをまず聞いてみた方がよい。
「その通りです、加味してません」なら
専門家に相談することを強く進めます。採算が合うサ高住が全くないわけではないです。はなから自分の土地で経営・運営する地主さんがほとんですから、、、
2022年生産緑地の解除により、サ高住はさらに増えるかもしれません。
まとめ
上記のように、第三者に事業性を診断してもらい、「これなら維持・運営していけますよ」とお墨付きをもらえれば安心は安心です。(自己資金率が非常に重要)
ただ、サ高住は運営会社に左右されます。数値上はたしかに事前に判断できます。
しかし、おそらく住む人にとって最も重要な運営会社の質・能力を事前に判断することは極めて難しい。
物を扱う商売ではなく、人を扱う商売なので、、、