一寸先は光なり

不動産全般・住宅ローンに不安のある方へ

住宅ローン・リスケジュールの現実

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リスケジュール

毎月、毎月の住宅ローンの返済が何らかの理由によりできない、

又は非常に苦しい。

非常に返済期間の長い住宅ローンではいつ誰におこっても

不思議ではない話です。

 

突然のリストラ、病気、転職失敗、起業失敗、介護離職、突発的負債、

と理由も人それぞれです。

 

理由は様々ですが、どんな理由があっても住宅ローン

の返済を金融機関が待ってくれるわけではありません。

 

しかし、金融機関としてもそのまま返済不能になり、

残債回収ができなくなるよりも、返済条件を見直して苦しい期間を乗り切り、

また通常の返済を行えるように一定期間返済条件を緩和する措置を

リスケジュールと呼びます。

 

 

金融機関にもよりますが、リスケジュールでは元金の

返済額を減らしたり、(金利だけ払ったり)、
返済期間の延長を計り
月の返済額を減らす措置が行われます。
:たとえば金利だけを払い元本を猶予してもらう場合
 その期間としては1年前後が多い
:期間延長の場合、当初何年払いの返済か?にも
 よります.概ね10年前後

 

リスケジュールを行う上で大事な点

金融機関に相談に行く時期

金融機関がすべてがリスケジュールを

認めるわけではありません。

しかし、認められやすい条件として欠かせないないのが

リスケジュールを金融機関に相談に行く時期です。

 

 この時期は圧倒的に住宅ローン返済に滞納が生じる前に

金融機関に相談に行った方が有利です。
(滞納しても督促状等が来ないうちに)

 

また、金融機関もリスケジュールの相談を受理した後、

本人審査やリスケジュール契約等準備に三週間前後時間を

要しますので、自分がリスケジュールとしての支払いを始めたい

時期の約三週間~一ヶ月前には相談に行くと良いです。

 

滞納後でもリスケジュールは絶対無理というわけではありません。

個人的な意見では遅くとも滞納一ヶ月以内に相談に行くこと。

この期間を超えると非常に難しい相談になります。

 

安定した収入があるか?否か?

金融機関がリスケジュールを認めるのに欠かせないのが

本人の安定した返済能力です。

返済条件の緩和後に、ふたたび通常の返済を行うための

特別措置ですのでその能力が非常に大事な判断能力になります。

 

また特に個人事業主の方に多い例ではありますが

「これは突発的であり一定期間だけの返済能力の低下」

と金融機関が判断できるような相談であれば

リスケジュールは行いやすいと思います。

 

リスケジュールで大事な点

*やる気をみせる(返済する意思)
*滞納前が絶対に有利
*返済が苦しい明らかな理由を用意する 

リスケジュール金融機関交渉条件

リスケジュールには明確なルールはありません。期間中の変更条件は

あくまでも本人と金融機関との話合いになります。

 

毎月の住宅ローン返済はせめてリスケジュール期間中だけでも

安く・低くしてもらいたいとは誰でも思うとは思いますが、

一体どういう基準で金融機関と交渉したら良いのか?

と思う人もいると思います。

 

この回答は非常に難しいのですが(個人差が非常にあるので)

金融機関と約束する返済額を間違いなく遅れずに払える額で

一番高い額。だと思います。

 

理由はリスケジュールで決まった返済額は絶対に遅れずに

返済しなければなりません。

(リスケジュールを行った際に債務区分評価が落ちます。)

 

しかし、リスケジュールと言っても、

一定期間の猶予であり総返済額が減るわけでありません。

支払いを先延ばしているだけなので、可能な限り返済にお金を

回した方が良いと思います。

 

*債務者区分(金融機関の六段階顧客評価区分)

1 正常先

2 要注意先

3 要管理先

4 破綻懸念先

5 実質破綻先

6 破綻先

*一般的に正常先以外は新たな借入れ・組替え・借換えは

不可ですが、通常の返済に戻れば正常先に戻ると言われています。

俗に言うブラックリストとは全く違います)

 

リスケジュール交渉時金融機関からよくある打診

リスケジュールを打診して後、金融機関がリスケジュールを

呑む条件に金利引上げがあります。 

 

リスケジュールを行って損な人

リスケジュールはあくまでも「その場しのぎです」。

そしてその期間も短い。

返済期間が「あと一年」ならばどうにかその場も

しのげるかもしれませんが、、

 

現実的な話をすると、金融機関住宅ローン融資担当者達に

「リスケジュール」後を聞いてみると、

「ほとんどの方が通常の支払いには戻れない」

とよく聞きます。

つまり正常先には戻れずに「一般売却」「競売」「任意売却」

という道を選択するという結果が出ています。

 

この結果が示す通り、一度、返済の歯車が狂いだすと

元に戻すには相当の覚悟が必要だということです。

相当な覚悟で生活を変える必要がありますし、

その覚悟を長期間において維持する必要があります。

 

リスケジュール期間終了直後や終了数ヶ月後に再び

「リスケジュール」を希望して、延長・承認を得る方もいます。

 

しかし、いずれは金融機関より最初に借りた

返済条件に戻すことになります。

 

通常に戻った時に、返済不能に戻ってしまう方は、

「苦しい中リスケジュール時に払ったお金も払わなくてよかったお金」

になります。

つまり「無駄なお金であり損です」

 

リスケジュール行う前に考えること二点

1 この返済が苦しいのは一時的か継続的か?

2 マイホームを残す覚悟を持てるのか?

 

たったこの二点ではありますが、

二点とも一人でじっくり考えても

答えが出しずらく、

ついついリスケジュールという一時的に楽になる道を

選びがちですが、この判断はとても重要です。

 

現在、一%にも満たない住宅ローン変動金利の返済を

18%の消費者金融で補填される方もいます。

また友人・知人・親から借りる方もいらっしゃると思います。

 

返済に不安がある中で、常に夫婦間の口論が絶えず、

その末に離婚ということもよくあることですし、

返済に疲れ、精神的・肉体的な健康を失う方もいます。

 

マイハウスの意味

そもそも、家族が幸せになるためのものであり、

その象徴であるマイハウスが、

家族の生活の安定を失ったり、

家族の精神的・肉体的な健康を失うようでは

意味が全くありませんので、

リスケジュールを考える時に上記2点はよく

考えて欲しいと思います。

 

言い方を変えれば、このリスケジュールを考える時、

その時点で改めて

「マイホームを見切るのか?」

「マイホームを維持するのか?」

を深く考える絶好のタイミングになります。

 

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高齢者のリスケジュール

「老後破産」とよく耳にするようになりましたが

団塊世代を含め、高齢者とて住宅ローンの返済に困る方は

近年増加しています。

 

若い方なら本業での昇給の他に、

本業とアルバイトをして収入を増やしたり

と収入を上げる手段があります。

 

しかし、今後収入の増加する見込みのない高齢者が

リスケジュールを行うメリットがどのくらいあるのか?

と聞かれれば非常に疑問です。

 

Aさんの例

77歳のAさん。自営業で夫婦2人3脚でクリーニング店

を営んでいましたが

子宝には恵まれませんでした。

 

元々、Aさん自身も呼吸器系が弱く、

肺を拡げる薬を常時携帯する体でしたが

15年前、Aさんが62歳の時に、

奥さんが脳梗塞になりました。

自宅での商売であったこともプラスして、

約9年間献身的に介護した末に

他界したそうです。

 

70歳で住宅ローンの返済を終えたそうですが(リスケジュール1年含)

62歳より、仕事量も大幅にへったのか?へらしたのか?

は解りませんが収入は大きく減ったそうです。

また50代後半にクリーニング店の

機械を交換したそうで、その借金もかなり高額だったそうです。

 

奥さんの治療費・介護にかかるお金・自身の治療費用、

様々な費用がかかり

預金残高もみるみる減ったそうです。

15年間の疲弊でほぼ全てを失った。

 

奥さんが他界した後、男性独居老人として生活していたわけですが

(男性独居の場合、女性独居より生活費用は高額になりがちです。

一番は食事面だと思いますが、自炊できない。)

 

ほぼ、国民年金2ヶ月で8万円以外の収入以外無かったそうですが

1ヶ月4万円で食費・光熱費・固定資産税等を補うことは通常できません。

税金面の滞納も生じます。

 

売却しようとずっと思っていたけど、、、

生活保護申請をする場合、「自分の不動産を所持していない」ことは

大前提になります。

Aさんの場合、現金・預金がなくてもマイホームがあるので

生活保護を受ける権利がありません。

 

また、売却して現金を得ても老人ホームに入れるまでの

現金を得れるわけではありませんでした。

老人ホームを諦めて、普通の賃貸アパートに入ることも

年齢的には難しいことです。

 

全てに一長一短があり「リスケジュールの問題」というよりは

老後破産の難しい問題だと思います。

 

がしかし、Aさんも一度リスケジュールを行ったと聞いています。

何歳の時かはしりません。

 

「見切り千両」という言葉があるのとは反対に世の中には

「諦めたらダメ、諦めたら終わり」みたいな言葉も沢山あります。

 

どちらが正しいのか?全く解りません。

 

年齢を重ねる逆にどっちが正しいのか解らなくなり

尚更はっきり言えなくなる

今日この頃です。

ps:Aさんの場合、栄養失調気味でしたが、

   そんな状態でも市役所に相談に行くわけでもなく、

   近所に助けを求めることも無かったそうです。

   これも男性独居老人の典型です。